本日は、発酵調味料である「酢」をテーマに
中国の4大名醋が一体どんなものか?、
また、4大名醋の中の鎮江香醋と山西老陳醋の
比較をしましたのでご紹介します。
“糀の発酵調味料”と”せいろ”で
美味しいとヘルシーを両立
ギルトフリーな中華料理で食べながら
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オンライン美・中華料理教室Éclat Shifu
主宰の三村 佳代です。
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中国4大醋
まず、中国4大名醋をご紹介する前に、
ウォーミングアップということで、
お酢について理解を深めていきましょう!
お酢はの発祥はどこでしょうか?
中国でよく使われているから、
やっぱり中国じゃない?
と思われた方も多いと思います。
私がネットで調べたところ
今から約7000年前のメソポタミア南部にある
バビロニア(現在のイラク辺り)で
造られたものが酢の最初だといわれており、
日本に伝わったのは中国からで、
古墳時代だそうです。
参考:Story 1. お酢から紐解く黒酢の歴史 |
黒酢といえば桷志田(かくいだ)福山黒酢株式会社 (kakuida.com)
お酢の種類(中国)
中国では、酢のことを
醋【cù】ツゥーといいます。
穀物酢のことを「白醋」
米酢のことを「米醋」
黒酢の中でも、
原料が高粱(たかきび)
を使ったものを「陳醋(ちんす)」
原料がもち米のものを「香醋(こうず)」
といいます。
中国四大醋
中国の四大名醋は、この4つです。
名前だけ見てもサッパリわからないと思うので、
1つずつ特徴などを解説していきますね。
①山西省/山西老陳醋
(さんせいしょう/さんせいろうちんす)
②江蘇省/鎮江香醋
(こうそしょう/ちんこうこうず)
③福建省/永春老醋
(ふっけんしょう/えいしゅんろうす)
④四川省/保寧醋
(しせんしょう/ほねいす)
①山西老陳醋(さんせいろうちんす)
「三千年の歴史、四大醋のトップ」
山西省の省都太原市のお酢です。
太原市は黄河の支流が流れ、
古代から文明が栄えた歴史ある街です。
山西省は「麺のふるさと」と呼ばれており、
多彩な麺料理が楽しめます。
代表的なのは小麦粉と水を練った塊を
専用の包丁で削いで作る
「刀削麺(とうしょうめん)」です。
農業が発達しており、
小麦、稲、トウモロコシ、高粱、豆などの
栽培が盛んで、山麓では泉が湧き水は比較的豊富です。
また、兵庫県姫路市と姉妹都市です。
山西老陳醋は、3千年余りの歴史があり、
「天下第一醋」といわれています。
高粱、ふすま、米ぬか、水を主な原料として
大麦とエンドウ豆を麹(これを大曲という)
として糖化、発酵を進めていきます。
色は深い橙色をしています。
山西老陈醋の中にはアミノ酸が
18種類以上、その他多数のビタミン
などが含まれており、
胃液の分泌を促したり、
血糖値の上昇を抑えたり、
血清脂肪を抑える働きがあります。
山西人はなんにでも
酢をかけて食べる習慣があるそうです。
東湖/山西老陳醋
私が購入した東湖の山西老陳醋の原材料は、
水、高粱、大麦、エンドウ豆。
酸度≧6.00g/100ml
②鎮江香醋(ちんこうこうず)
「独特の香りと、甘味が特徴」
江蘇省鎮江市のお酢です。
鎮江香醋または、鎮江醋と呼ばれています。
「香」という字がついているのは、
他のお酢よりも独特な香りを表しています。
鎮江市は、長江(揚子江)下流南岸に位置し、
長江と北京と杭州を結ぶ京杭大運河が
交差する地点にあり、
米、麦などの農作物がよく獲れる地帯です。
岡山県倉敷市と三重県津市と友好都市です。
鎮江香醋の歴史は比較的浅く、
1840年に製造を開始し、
1909年には輸出されるようになりました。
鎮江香醋は国内で5度の受賞歴があります。
その製法はもち米を発酵させ、
酒を作った後、ふすまを加えて攪拌し、
酢酸菌をもって酢化させる。
ふすまで変色し、独特の黒色を帯びます。
3週間ほどで酢化させたのち、寝かせて熟成させます。
鎮江香醋は山西老陳醋と比べると
やや甘さがあるのが特徴。
江南地方(上海、蘇州、杭州あたり)
で肉が入った小吃(シャオチー)
と呼ばれる軽食(肉まんやワンタン、小籠包など)
を食べる時は、甘さが少しあるこの香醋が
この小吃の味を引き立てるので、欠かせません。
北固山/鎮江香醋
私が愛用しているもの。
原材料は、もち米、小麦ふすま、食塩、砂糖、(一部に小麦を含む)
酸度≧5.50g/100ml
永春老醋(えいしゅんろうす)
「別名”烏醋(うす)”、紅麹を使用」
福建省泉州市永春県のお酢です。
別名「烏醋(うす)」とも呼ばれる。
「カラスのように黒い酢」という意味。
烏醋(うす)というと、日本では
台湾産のものを指すことが多いので、
注意が必要です。
泉州市は福建省で最大の人口を持ち、
かつては海上交易の中心地として繁栄し
マルコポーロはこの都市を記録に残しています。
沖縄県浦添市と友好都市。
北宋初期永春では、老醋を
もち米、紅麹、水、胡麻など
を使って作り始めました。
1,000年以上の歴史がありますが、
輸出を始めたのは、
鎮江香醋よりも遅く1959年のことです。
※960年というと日本は平安時代で天德4年。
当時の天皇は村上天皇。
光沢のある黒色をしており、
酸味はあるが苦みはなく
酸味の中にも甘味があり、
芳醇な香りの中にも爽やかさがあります。
また、病気を治したり、おたふく風邪や
回虫症、風邪予防にも使われてきました。
保寧醋(ほねいす)
「四大醋唯一の”薬醋”という異名を持つ」
四川省阆中市保寧鎮のお酢です。
1,000年以上の歴史があり、
麦麩(むぎふすま)という、
小麦をひいて粉にした時に残る皮、
小麦、米、もち米、砂仁(しゃにん)、
肉桂(にっけい)、当帰(とうき)
杏仁(あんにん)などの漢方が使われており、
四大酢の中で唯一「薬醋」といわれています。
高脂血症やガンの抑制
などの効果が期待されており、
このお酢が作られている工場の周りでは、
一人もがん患者がいないのだとか。
三面が川に、四面は山で囲まれており、
交通の便があまりよくないことから
これまでは中国西部が主な市場でした。
現在では交通の発達により、
少しずつ中国全土に市場が広がっています。
どう使い分ける?
黒酢というカテゴリは一緒だけれど、
どういう風に使い分けたらいいのか?
気になりますよね。
ここでは、比較的流通量の多い
①山西老陳醋と②鎮江香醋について
ご紹介します。
山西老陳醋
山西老陳醋は加熱しても
風味が飛びにくい性質があり、
魚や肉の臭みを取る力が強い。
火をしっかり入れる料理や
酸味をしっかりつけたい
料理にも向いています。
【用途】
タレ、和え物、炒め物、
煮込み、あんかけなど
その用途は幅広いです。
鎮江香醋
加熱すると特徴である香りや、
風味が飛んでしまうので、
火を入れずにそのまま
いただくのがよさそうです。
タレ、和え物、はもちろん、
加熱する時には煮込み料理ではなく、
仕上げの風味付けに使うと良いでしょう。
特に上海、蘇州、杭州がある地域
江南地方の小吃(シャオチー)
小籠包やワンタン、肉まんなどと
非常に相性がいいです。
山西老陳醋と鎮江香醋を比較
左が山西老陳醋、右が鎮江香醋です。
【色】
黒さ:鎮江香醋>山西老陳醋
【香り】
ツンとした香り:鎮江香醋>山西老陳醋
【味】
2つともバルサミコ酢のようなコクは共通。
山西老陳醋:甘味はあまりなく、後半にかけて強い酸味を感じる。
鎮江香醋:最初に酸味と甘みがあり、後半は香ばしさが残る。
山西老陳醋に比べると独特の香りが漂う。
エビワンタンで食べ比べ
食べ比べをしてみました。
火を入れずに、そのままかけダレとして。
味がよくわかるように、醤油はあえて入れずに。
色は左の山西老陳醋が深い橙色、
右の鎮江香醋は黒っぽいのがよくわかりますね。
個人的な感想になりますが、
私自身鎮江市に近い、
杭州市に留学していたため、
お酢と言えば、鎮江香醋でした。
柔らかい酸味の中にも甘さが感じられ
ワンタンの美味しさを引き立てて
くれるような一体感がありました。
食べ慣れていることもあり、
納得の美味しさでした。
一方、山西老陳醋は、
後半にかけて酸味が強くなってきます。
咀嚼しているとワンタンの味よりも
お酢の味の方が強く感じられました。
今回はお酢だけで食べたので、
余計そう感じたのだと思います。
ワンタンのつけダレにする場合、
醤油:山西老陳醋=7:3くらいに、
醤油:鎮江香醋=1:1
もしくは、酢が多めでもいいと感じました。
今回は、茹でたワンタンだったので
上記の結果になりましたが、
これが揚げワンタンだったら感じ方が
変わったかもしれません。
私のおススメ&簡単レシピ
ズバリ鎮江香醋です。
山西老陳醋は、酸味が強めなので、
初めて挑戦される方は
ビックリするかもしれません。
一方、鎮江香醋は甘味もあり
餃子や小籠包のつけダレや、
お粥や麺類の味変として
抵抗なく使っていただけると思います。
お値段も、鎮江香醋は山西老陳醋の
2/3くらいの値段で購入することができますし、
550ml以外にも150ml程度の
小さいものも売られています。
業務スーパーや富澤商店で
売っていますので、
気になる方は鎮江香醋に
使ってみて下さい♪
香醋を使った簡単レシピ
混ぜるだけ!超簡単!
中華冷や奴~ナッツがけ~
【材料(1人前)】
・豆腐(150g)
・お好きなナッツ
ピーナッツ、カシューナッツなど
・ネギ、パクチーなど適量
■中華ダレ
・醤油 15g
・香醋 5g
・醤油糀 5g
・砂糖 2g
・ごま油 2g
・いりごま 1g
・ラー油(お好みで)適量
【作り方】
①豆腐をスプーンで食べやすい
大きさにすくって器にもる。
②中華ダレを混ぜ、①にかける。
③ナッツとネギを散らして
出来上がり!
試してみて下さいね!
まとめ
①山西老陳醋 | ②鎮江香醋 | ③永春老醋 | ④保寧醋 | |
産地 | 山西省太原市 | 江蘇省鎮江市 | 福建省泉州市 | 四川省阆中市 |
歴史 | 3千年以上 | 180年以上 | 1千年以上 | 1千年以上 |
原材料 | 水、高粱、大麦、エンドウ豆など | 水、もち米、ふすま、食塩、砂糖など | もち米、紅麹、水、胡麻、砂糖など | 麦麩、小麦、米、もち米、砂仁、肉桂、当帰杏仁、麦芽 |
酸度 | ≧6.00g/100ml | ≧5.50g/100ml | ≧6.50g/100ml | ≧6.00g/100ml |
備考 | 酢のtop of top。 熱に強い。 | おススメ! 熱に弱い。 独特の香り。 | 別名「烏醋」 酸味が強い。 | 異名は薬醋。 |
ご参考になれば幸いです。
本日も最後までご覧いただき、
ありがとうございました。
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