米の麺 – タムジャイサムゴーに行ってきた!今話題のライスヌードル”米線”を中国料理研究家がひも解きます

ビーフン

突然ですが、「タムジャイサムゴー」というお店をご存じでしょうか?

聞き慣れない名前だと思いますが、
香港で大人気の米線(ミーシェン)=ライスヌードル専門店
2022年3月に東京にオープンしたばかり。

今話題の”米線(ミーシェン)”とは一体何なのか?
タムジャイサムゴーの米線の食レポとともに
中国料理研究家の筆者がひも解きます。

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“糀の発酵調味料”と”せいろ”で美味しいとヘルシーを両立
ギルトフリーな中華料理で食べながらキレイにを叶えたい女性に

オンライン美・中華料理教室Éclat Shifu 主宰の三村 佳代です。

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タムジャイサムゴ―とは?

「タムジャイサムゴー」

思わず聞き直してしまう、聞き慣れない言葉ですね。

香港で大人気の米線スープヌードルレストラン

香港人気No.1の米線スープヌードルレストラン、

譚仔三哥(タムジャイサムゴー)。

1996年に香港で創業し、

2017年に丸亀製麺で有名なトリドールホールディングス

「譚仔雲南米線(タムジャイ雲南ミーシェン)」

「譚仔三哥米線(タムジャイサムゴーミーシェン)」買収しました。

 

ミシュラン(ビブグルマン)を3年連続獲得し、

香港・シンガポールで85店舗を展開しています。(2022年3月10日時点)

ついにこの春、日本にも上陸!

2022年3月に新宿、4月に吉祥寺にオープンし、

恵比寿に3店舗をオープンする予定です。

米線とは?

中国では、お米で作った麺のことを「米粉(ミーフェン)」といいます。

ひとくちに「米粉(ミーフェン)」といっても、

色々な形状や食感のものがあります。

 

私たち日本人になじみのある「ライスヌードル」

といったらビーフンではないでしょうか。


ビーフン
福建や台湾あたりの方言で「米粉」を発音したものです。

春雨のように細く、麺自体にコシがあるのが特徴です。

 

米線(ミーシェン)もライスヌードルの一種なのですが

一体どんなものなのでしょうか?

○○省では日常に欠かせない米線

雲南、貴州、四川省では主に、ライスヌードルのことを

「米線(ミーシェン)」と呼んでいます。

特に雲南省は、地方ごとの食材を盛り込んだ米線料理が豊富です。

下記の”雲南米線地図”は中国のサイトですが、

写真をご覧いただくだけでも米線の豊富さが

お分かりいただけると思います。

雲南米線地図

米線は断面が丸く、細いもので直径1.5mm位、太いものは直径3.5-4.0mm位。

パスタとうどんの間の太さだというと分かりやすいでしょうか。

・雲南の米線(製造方法は大きく3つ)

①酸漿米線(生)

白米を発酵させた後につぶして作られる伝統的な製法。

②硬漿米線(生)

白米を発酵させずにすぐに粉にして機械で押してつぶし摩擦熱で糊化して成型したもの。

③干漿米線(乾)

②を晒し干したもの。

 

雲南の人に最も愛されているのはツルンとした

のど越しと白米の香りと甘さが感じられる

①の発酵させた生の米麺、酸漿米線だそうです。

<参考>雲南の食の世界~過橋米線のふるさとを訪ねて~

 

麺も発酵させるという発想があるのが驚きなのと、

米線は、コシを楽しむものではなく

ツルンとしたのど越しと米の香りと甘さを楽しむものなようです。

”過橋米線”は無視できない存在

米線の中でも雲南省の「過橋米線(グォチャオミーシェン)」は、

中国では代表格といえます。

2014年に国家級の無形文化遺産リストに登録ています。

その名前の由来は?

諸説ありますが…

清の時代、雲南省南部の蒙自市にある夫婦がいました。

官僚登用試験である「科挙(かきょ)」を目指す夫は、

南湖に浮かぶ小島で勉強し、

妻は長い橋を渡って夫に料理を届けるのが日課でした。

 

夫の好物は米線。

しかし、夫の手元に届くまでに冷めてしまうのが悩みでした。

 

ある日、少しでも温かいまま食べてもらおうと

大きくて分厚い器に熱々のチキンスープに鶏の油で蓋をして、

薄切りにした具材と米線を分けて届け、食べる直前に混ぜたところ、

暖かいまま美味しく食べることができのたそうです。

 

この話を聞いた村人は、

橋を渡って(「過」は中国語で「渡る」の意)食べる米線

ということから「過橋米線」と呼ばれるようになりました。

日本でも食べられる”過橋米線”

Googleで「過橋米線」と検索すると、

東京では約5店舗大阪では1店舗がヒット。

東京の「過橋米線 秋葉原店」にランチ時間に訪れました。

 

筆者は15年前に、雲南省の昆明で過橋米線を食べたのですが

実は、お世辞にも美味しかったとは言えなかった記憶があります。

白くて少し太めの丸い麺で、コシが全然なくプチプチ切れてしまいました。

さぁ、どんな米線がでてくるのか楽しみです。

ランチメニュ―はこちら。左側のメニューの上部に

「米線って、話題の米粉からできたうどんのことです。」

初めて米線を知る方にもイメージしやすい説明が書かれています。

右側の青い枠で囲った伝統雲南風過橋米線」を注文しました。

先ほどの名前の由来のとおり、スープと米線と具が別々に出てきましたね。

肉、米線、野菜の順番に入れて食べてねと説明がありました。

お皿に並んだ薄い肉。薄く切った生ハムという感じ。

雲南省には「雲腿(ウントゥイ)ハム」

というハムがありますが、それなのかどうなのか?

そして、お椀の底が見えるクリアなスープ。油で蓋がされていますね。

米線は真っ白というよりも、やや透明がかっている感じ。

具材を全てスープの中に入れ、早速いただきます。

スープはクリアながら、しっかりとした旨味があります。

そして、昔、昆明で食べた時は、がっかりした覚えのある米線。

緊張の一瞬です。

 

「ん?もちもちしてる♪」

 

記憶していた麺とは逆方向のもちもちプルンな食感です!

ハムも時々食べるとほどよい塩気旨味で、いいアクセント

 

中国の食堂ではよくある麺量の多さ。

でも、スープも麺もあっさりしていたので、あっという間に完食しました。

小麦価格高騰で注目を集める”米粉”

ロシアのウクライナ侵攻による小麦粉の価格の高騰を受け

パンやうどん、パスタなどに欠かせない小麦に代わって、

小麦粉以外の原料の中でも”米粉”が注目を浴びています。

脚光を浴びるライスヌードル

神戸に本社を持つ「ケンミン食品」は、

お米を原材料としたビーフンを製造販売しています。

コロナ禍の巣ごもり需要に加え、

小麦の価格高騰はによる麺類の値上げが追い風となり

4月の売上は前年同期比107%となっているそうです。

 

しかし、大部分の商品をタイ工場で製造していることもあり、

円安の影響も少なくないといいます。

 

健康・美容に気をつかう方にも

米の麺は小麦粉に含まれているグルテンがなく

グルテンフリー食材としてアレルギーの方

健康・美容に関心の高い方を中心に近年注目を集めていましたが、

この社会情勢を受けて米麺の需要がさらに増加しそうです。

タムジャイサムゴーで”米線”を食べてきた

今話題の譚仔三哥(タムジャイサムゴー)新宿中央通り店を訪れました。

この日は月曜日の14時。

ランチタイムを外していったにも関わらず、お店の前には行列が。

最後尾に並んだつもりが、

「最後尾はこちらです。」

と警備員さんに声をかけられ、さらに後ろの列に並び直すことに。

注目度の高さが伺えました。

注文の仕方

入口に近づいていくと、店員さんがメニューを丁寧に説明してくれました。

今なら、タムジャイサムゴーの公式LINEに登録すると

「香港レモンティ」が1杯無料ということでした。

メニュー|譚仔三哥(タムジャイサムゴー)公式サイト (tjsamgor.jp)

①<スープの味>を選ぶ

スープは全部で6種類。

麻辣(マーラー)、番茄湯(トマト)、

煳辣(ウーラー)、三哥酸辣(サムゴーサンラー)

清湯(クリアスープ)、酸辣(サンラー)

②<辛さ>を選ぶ

辛さは全部で10段階。

ベースが「5小辣」で、数字が小さくなるほど辛くなるという不思議な設定。

清湯(クリアスープ)、酸辣(サンラー)は辛さを追加することができず

煳辣(ウーラー)は麻辣(マーラー)よりもスパイスが多めで辛く感じるので、

麻辣(マーラー)で「4小辣」なら煳辣(ウーラー)は「5小辣」でいいとのこと。

③<トッピング>を選ぶ

トッピングは25種類。

スープ×辛さ×トッピングの組み合わせは100万通りにも及ぶのだそう。

高野豆腐とニラとモヤシは入っている状態がベースだけれど、

トッピングを1つ以上注文する必要があります。

香港で人気なのは、鶏胸肉豚バラチャーシューだそうです。

いよいよ実食

月曜の14時で、結局30分待ちで入店できました。

注文は席で、お会計は食べ終わった後にレジでするシステム。

私はそこそこ辛い物が得意なのですが、美味しく食べたいので控えめに

麻辣(マーラー)、1段階だけ辛くして「4小辣」、

鶏胸肉トッピング香港レモンティーを注文。

 

タムジャイサムゴーさんのHPには、

 

❝最高品質の米と優れた水源から作られた
 米線は注文ごとに茹でたてで提供。

 とってももちもちしていて、
 噛みごたえはぷりっと歯切れが良く、
 オリジナルスープとよく絡みます。
 軽やかでありながらしっかり元気をもらえる、
 これまでにない満足感をお楽しみください。❞

 

とあり、期待が膨らみます。

出てきたのはこちら。

ファーストインプレッションは…

器が大きい。

・米線が見えない。

・白濁したスープ。

 

食べてみると…

・思った以上に辛い。
(甘いレモンティーがちょうどいい)

麵が真っ白、のど越しがいい。
(もちもち感は過橋米線ほどない。)

食べ進めいくと…

・米線の量がハンパなく多く、全然減らない。

・辛味(胡椒、唐辛子、山椒)と深みがスゴイ。

・しっかりとしたコクと辛みがあるけれど、
 スープはさらっとしていて軽く、なんとも不思議な感覚。

 

これはまさに「まだ日本語に訳せないウマさ。」です。

 

ここまで複雑な味がするのに、全然重くないところが気に入りました。

後でのどが渇くということもなく、病みつきになる美味しさ。

ツルツルとのど越しのいい麺も新しい感じでgood!

他の種類のスープも試してみたくなりました。

 

ということで、今話題のライスヌードル米線(ミーシェン)

過橋米線、タムジャイサムゴーについてご紹介しました。

ラーメンとも、うどんとも、そうめんともまた違う米線の食感。

大流行りする前に、一度試してみる価値ありですよ!

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