砂糖どれがいい – 点心作りの砂糖どれがいい?砂糖の特徴を知って使い分けよう~生徒さまの事例から~

調味料

10月のレッスンでは、
流れるカスタードまんを作っています。

ある生徒さまのカスタードの
流れ出るサラサラ度合いが低かったので、
使った砂糖についてお伺いしたところ
おそらく原因は砂糖だなと思いました。

本日は生徒さまの事例から
点心作りの砂糖どれがいいのか?
というお話をしていきたいと思います。

砂糖どれがいい – 点心作りの砂糖どれがいい?砂糖の特徴を知って使い分けよう~生徒さまの事例から~

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“糀の発酵調味料”と”せいろ”で
美味しいとヘルシーを両立

ギルトフリーな中華料理で食べながら
キレイにを叶えたい女性に

オンライン美・中華料理教室Éclat Shifu
主宰の三村 佳代です。

この記事はこんな方におススメです。

✓意識して砂糖を使ったことがない方
✓砂糖によって出来上がりに差が出るの?と思った方
✓砂糖を使い分けて点心をいい感じに仕上げたい方

あれっ?同じように流れ出ない

昨日のレッスンでの出来事。
流れるカスタードまんを作ったのですが、
その名のとおり、
割ると割れ目からトロ―っと
カスタード餡が流れ出し、
このようにお皿の方まで広がってきます。

流れるカスタードまん オンライン中華料理教室エクラシーフ

蒸し上がって、
生徒さまが割る緊張の一瞬を
zoom越しに見させていただきました。

1人目の生徒さまは大成功!
歓声が出ました。

2人目の生徒さま。
あれっ?トロッというより
ドロッとという感じ。

餡の温まりが悪いのかと思ったので、
残りのカスタードまんを数分プラスして
蒸していただきました。

さぁ、どうだ?

ややトロッとはするものの、
お皿の方まで流れ出ませんでした。
う~ん、失敗ではないものの…少し残念!

砂糖の特性と働き7選

以前にも砂糖の効能と、
点心作りの砂糖のお話をしました。

砂糖種類 – 点心作りの砂糖は何を使ったらいい?~甘いだけじゃない砂糖の効能~
ここでは、この3つをご紹介しました。
1.脱水作用
2.まず砂糖で、甘みを入れる
3.カラメリゼで香りと苦みをプラス

トロッと流れ出なかった原因の解明の前に、
砂糖というのは料理において
どういった働きがあるのか?
上記以外の7つについてご紹介します。

砂糖は水に溶けやすい特性があります。
これを親水性といいます。

親水性により、
他の食材の水分を奪い取る「脱水作用」や、
抱え込んだ水分を離さない「保水作用」
などの働きに繋がってきます。

① メレンゲの泡立ちをよくする

卵白に砂糖を加えて泡立てると、
砂糖が卵白の水分を吸収して泡が安定し、
気泡が壊れにくくなり、
なめらかなメレンゲになります。

砂糖を入れずに卵白を泡立てると、
キメが粗く不安定。
すぐに分離してしまいます。

②肉や卵を柔らかくする

肉や卵などに含まれるたんぱく質は、
熱によって固まりやすいという
性質を持っています。

砂糖が肉や卵などの
組織の間に入り込み水分を引き付け、
卵のタンパク質の凝固を遅らせたり
肉のたんぱく質の一種である
コラーゲンと水が結びつくのを助けることで、
食品を柔らかくする働きがあります。

プリン作りで使用する卵の
水分を砂糖が抱え込むことにより
水分が保持され、柔らかでなめらか
仕上がりになります。

③ ジャムなどにとろみをつける

果物に砂糖を加えて加熱すると、
果物に含まれるペクチンが溶け出し、
砂糖がその水分を吸収することで、
ゼリー状に変化します。

④ 酢飯や餅菓子がかたくならない

酢飯や餅菓子が時間が経って冷えても
かたくなりにくいのは、
米や餅米の主成分であるでんぷんに
含まれる水分を砂糖が引きつけることで、
粘り気のある状態を保つことができるからなのです。

⑤ 食品を腐りにくくする(防腐性)

カビや細菌が活性化するためには
水分が必要ですが、
多くの砂糖を加えると
食品中の水分を砂糖が抱え込むため、
腐りにくくなります。

ジャム羊羹(ようかん)など、
多くの砂糖が含まれる食品は
カビが繁殖しにくく、
腐りにくくなります。

⑥ 油の劣化を防ぐ(酸化防止)

油を使った食品は、
時間が経つと味が悪くなったり、
嫌な匂いがしたりすることがあります。
これは油が空気中の酸素と結びついて
酸化することによるもの。

しかし、砂糖を加えると油の中の水分が
砂糖と結びついて酸化しにくくなります。

⑦ 加熱時に色をつける

糖とたんぱく質(アミノ酸)を
一緒に加熱することによって、
食欲をそそる焼色がつきます
(メイラード反応)。

パンホットケーキ
クッキーカステラを焼くと、
表面においしそうな焼き色が付くのは
適度な砂糖のおかげです。

原因の追究~砂糖は何を使ったか?~

今回の流れるカスタードまんに
砂糖を使う理由は、
①甘さをつけるため
②肉や卵を柔らかくする
と考えます。

砂糖を減らしたわけでもなさそうだし、
どうしてだろう?

私は生徒さまにこんな質問をしました。

お砂糖は何を使いましたか?

すると、

キビ砂糖を使いました。
体に良さそうだからついつい
キビ砂糖を使っちゃいます。

理由はそれだと思いました。

どうしてキビ砂糖はダメなのか?

その理由としてはキビ砂糖は、
カルシウムやカリウムなどの
ミネラルを多く含むのですが、
精製されていない分、
不純物が残っているので、
精製された砂糖に比べると
素材に混ざりにくく
今回のようなトロッと流れ出るような
テクスチャーのものには
あまり向かない
と感じます。

レシピには精製糖の
グラニュー糖か上白糖
使って欲しい旨を記載していたのですが、
最大のポイントをレシピ送付の時に
もっと強調しておくべきだったと反省しました。

塩漬け卵黄を一部使っているので、
健康のために…と
砂糖をむやみに減らすと
しっとり感がなくなって
トロッと流れでにくくなる餡
になることも考えられるので、
砂糖の減らしすぎにも注意
してくださいね。

3つの砂糖の特徴

どの砂糖がどういう特徴があり
どんなものをつくるのに向いているのか
代表的な3つの砂糖についてご紹介します。

①グラニュー糖

原材料
主にさとうきび。

製法
精製度が高い分蜜糖。

特徴
さらさらしている。
すっきりした甘さでくせがない。

・砂糖を溶かして使用するもの全般

②上白糖

原材料
さとうきび・てんさい。

製法
精製度は高い分蜜糖。

特徴
グラニュー糖より
しっとりしていて、甘みが強い。
グラニュー糖より細かい粒状。

・あんこ、しっとりとさせたいもの

③キビ砂糖

原材料
さとうきび。

製法
精製されているが、
黒糖よりは精製度が低く、
ミネラル分などが残っている。

特徴
さとうきび本来のコクと甘みがある。

・少しコクを出したい焼菓子
・コクを出したい料理(煮物など)

砂糖どれがいい?点心作り目的別、砂糖の選び方

砂糖の特性と働きを理解したうえで、
最終的にどのように仕上げたいのか
をイメージしてどの砂糖を使うのかを
選ぶといいと思います。

①生地をしっとりさせる容

肉まん割包花巻、などの
ふわっと膨らむ発酵生地を作る時には、
主にはイーストの働きをよくするため、
生地に甘味を付けるために砂糖を入れますが、
より生地をしっとりさせたいという場合は、
グラニュー糖やキビ砂糖を使っても
問題ありませんが、
上白糖を使うとベストです。

グラニュー糖上白糖キビ砂糖

②水分量が少ない生地をしっとりさせる

桃まん

桃まんチャーシューまん
流れるカスタードまんなどの
水分の少なめの発酵生地
ココナッツ団子ハムスイコー
ゴマ団子などのグルテンフリー生地
の場合は、乾燥しがちなので
砂糖をしっとりさせる特性が強い
上白糖を使うと操作性がよくなります。

グラニュー糖上白糖キビ砂糖
×

しっとりさせるために砂糖を使う
部分が大きいので、健康のために…
と砂糖を極端に減らしてしまうと、
カサカサで餡が包めないということに
繋がってしまうので、
減らしすぎには注意です!

③流れ出る餡を作る

流れるカスタードまん オンライン中華料理教室エクラシーフ

今回の事例ですね。
なめらからに流れ出る餡
作りたいのであれば、
溶けやすい、もしくはしっとりする
グラニュー糖、その次に上白糖がおススメです。

グラニュー糖上白糖キビ砂糖
×

逆に流れ出すぎると食べにくい!
ある程度トロッとしていればOK
というのであれば、
キビ砂糖を使うのもありです。

ブログ紹介:クッキーを作る時の砂糖は何がいいのか?

私が尊敬する
お菓子教室のひすなずた
おおしたかおり先生のブログでも

「クッキーを作る時の砂糖は何がいいのか?」

という記事を生徒さまの事例から
ご紹介されています。
この時も原因はキビ砂糖を使ったことでした。

中華とフランス菓子で分野は違えども、
「なぜこれを入れるのか?」
「どういう出来上がりにしたいのか?」
を考えることがとても大事だと感じました。

ぜひご覧ください♪
↓↓↓
クッキーに使用する砂糖は何がいいのか?なぜ粉砂糖を使用するのか? / 大阪・オンラインお菓子教室ひすなずた | オンライン大阪お菓子・スイーツ教室ひすなずた (hisunazuta.com)

砂糖どれがいい – 点心作りの砂糖どれがいい?砂糖の特徴を知って使い分けよう~生徒さまの事例から~ まとめ

▼砂糖の特性と働きを理解する
①メレンゲの泡立ちをよくする
②肉や卵を柔らかくする
③ジャムなどにとろみをつける
④酢飯や餅菓子がかたくならない
⑤食品を腐りにくくする(防腐性)
⑥油の劣化を防ぐ(酸化防止)
⑦加熱時に色を付ける

▼種類別砂糖の特徴
①グラニュー糖
さらさらしている。
すっきりした甘さでくせがない。
→砂糖を溶かして使用するもの全般

②上白糖
グラニュー糖より
しっとりしていて、甘みが強い。
グラニュー糖より細かい粒状。
→あんこ、しっとりとさせたいもの

③キビ砂糖
さとうきび本来のコクと甘みがある。
→少しコクを出したい焼菓子
→コクを出したい料理(煮物など)

▼どのように仕上げたいのかをイメージする
①生地をしっとりさせる
②水分量が少ない生地をしっとりさせる
③流れ出る餡を作る

▼どの砂糖がいいのかを選択する

砂糖の役割や特性を知ることで
自分の作りたいイメージに近いものが
出来上がるようになりますよ。

ぜひ少し意識して砂糖を使い分けて下さいね。
少しでもご参考になれば幸いです。

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